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2010年4月の記事

2010年4月30日 (金)

G-W

すでに始まっておりますゴールデンウィーク。みなさんの予定はいかがでしょうか?私はどこへ行く予定もなく、家でハガキ書きの懸賞三昧の予定でございます(涙)。
ハガキ書きだけでは時間を持て余すので、ロジックパズル本でも買ってこようかとも思っています。
今年のG-Wはお天気も良さそうで、行楽地は賑わいそうですね。奈良では現在「平城遷都1300年祭」が開催中です。桜井市の長谷寺では「ぼたんまつり」もやっています。ぜひ奈良にも足をお運び下さいませ〜。

で、G−Wつながりということで、「ここはグリーンウッド」をオープンいたします。これもずいぶん昔に書いたものです。とりあえず3編ほど・・・。
そして「novel BUD BOY」に私のお気に入り、東雲×A皇女蕾の「Passion!!」を追加いたしました。
お暇な時に覗いてやって下さいませ。

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2010年4月29日 (木)

超パワースポット

超パワースポット
今日は天気も良いので、大神神社に散歩に行ってきました。人気のない大神神社を想像してたんですが、いがいに観光客で賑わっていてびっくり。他府県ナンバーの車と観光バスがいっぱいでした。2月だったかな?「やりすぎコージー」って番組で超パワースポットとして紹介されていたんですが、もしかしたらそれ以来訪れる人が増えたのかもしれませんね。三輪山に登られる人も沢山おられました。
大神神社と言えば、御神体が山で蛇の神様なんですね。
今年の初詣でのこと。参道の途中に人だかりが出来てたので、何だろうとのぞいてみると、石垣の隙間から小さい白いものがチョロチョロと出たり入ったりしてたんです!そう、白蛇です!!見えてる部分が小指程の本当に小さい蛇だったんですが、初めて見ました。しかも大神神社内だったんで、すごく感動してしまいました。でも今回は残念ながら見ることは出来ませんでした(^^;
何だかパワースポットの写真を携帯の待受画面にすると運気が上がる、って聞いたことがあるんですが本当かしら?
しかし、携帯て写真撮るのって難しいですね。

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2010年4月27日 (火)

過去の当選品 その4

日清サラダ油モニターテレクッション
ハウス オリジナルハート型カレー皿2枚セット
郵便局モニター ティーサーバーセット
「賞とるマガジン」ハガキ掲載 1000円図書券
花王モニターテレカ
キッコーマン少年野球バット 松井秀喜モデル
イチローオリジナルポストカード9枚セット
高級茶葉詰め合わせ
マルハオリジナルTシャツ
ピクニックセット
ボス キャップ
ボス Zippo
グリコオリジナルウィンドブレーカー
セレッソ大阪フードパーカー
ピュアカシミアマフラー
ジョージア テレカ3枚セット
ドラえもん映画チケットペア
ポッカレモン現金3000円
トートバッグ
シャンプーコンディショナーセット
井村屋有機肉まんあんまんセット
セパージュ(ワイン)体験セット
Aコープ商品券500円
オリックスブルーウェーブ ベースボールキャップ
ヴァルナπウォーター1.5リットル×6本

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2010年4月25日 (日)

思わず買ってしまいました

思わず買ってしまいました
カレー味のスナックは色々ありますが、牛スジカレーのスナックは珍しいかも。しかも99円だし。なので買ってみました。
…カレー味のスナックとしてはピリ辛で美味しかったんですが、「牛スジ」と言われると???でした。
一袋中、一、二個は牛肉の風味がほわ〜とするのがありましたが、やっぱり「牛スジ」がわかりません^^;ちょっと残念(T_T)。なので、今度の連休にでも牛スジカレーを作ろうかな、と思いました(^-^;

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2010年4月23日 (金)

またまた追加

novel BUD BOYに「救いの天使」を追加しました。

そして新たに「CIPHER」のコンテンツをオープンしました。
「魔法の極印」の続編、「光の領域−旅のおわりに−」と「約束−風の竜・水の竜−」を追加しています

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2010年4月20日 (火)

追加

「novel BUD BOY」に「Missing you」を追加しました。
強気な春日ちゃんvs蕾のお話です(笑)

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2010年4月14日 (水)

オープン!

おまたせいたしました。「秘密のBUD BOY」オープンいたします!
こちらでは、表に出せない東雲×皇女蕾のお話をupしております。内容が内容なだけに、パスワードがなければ入室していただくことができません。以前からお付き合いのある方には事前にお知らせしております。こっそりいらしてくださっている方、お声をかけてくだされば、パスワードをお知らせいたします。初めましての方は、まずはお友達からお願いします。
そして、今までこちらで公開していたBUD小説も「novel BUD BOY」に移動いたします。移動することによって、数回に分けられていたお話を一気に読んで頂けるようになりました。
以降、「CIPHER」も同様に移動させていく予定です。

「秘密・novel」ともにコメント欄がありません。もしコメントを頂けるようでしたら、表の適当な記事に付けて頂けると有り難いです。

「novel」の方は「万華鏡」「小話」「小話その2」「ココロノカガミ」「春待夜」に加え、「ひだまり」(改訂版)をupいたしました。「ひだまり」にはかる~くオリキャラが出てきますので、そうゆうのが苦手、許せない方にはオススメできません。
「秘密」の方には「Secret」「Secret2虜囚花」「そばにいるだけで」の3話をupしております。

左サイドバー、「カテゴリー」の下に設置いたしました。

では、濃厚な東雲×皇女蕾をご堪能下さいませ・・・。

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2010年4月10日 (土)

魔法の極印 後編

「あたしたちは必ず戻る!何があっても、必ず宝玉を手にして!!」
 それはこの地へ来る前、二人が交わした誓いの言葉であった。
「そうね、あたしたちは戻らなければ…」
 ルースは小さく息をはくと、頷いた。
 彼女たちの世界にも闇が迫っていた。数年前、破られた封印から目覚めた魔王により、多くの街や村が次々と闇の世界へと変えられた。そして今、その魔の手が彼女たちの住むヨーク島にまで及ぼうとしていたのだ。魔王の力を阻むには強力な魔法が必要だ。しかし彼女らにその術はなかった。島を、世界を守るためには、嘘か真かわからぬ古文書を信じ、それを頼るほか、術はなかった。大それたことだとも思った。果たして自分たちに救えるものがあるのかと、疑心を抱くのは今も同じだった。しかしここまで来たからにはどうしても宝玉がほしかった。「可能性」と言う名の宝玉がほしかった。

 警戒しながら進んで行く二人の目の前に、黄金に縁取られた台座が現れた。その上には綿の入ったやわらかい敷物が置いてあり、さらにその上に闇に輝く星のようなきらめきを放つ『竜の宝玉』があった。洞窟の行き止まり、闇の最終地点に輝くそれは、人の眠れる欲望を揺り動かすには十分なものであった。誰もがこれを目の当たりにした瞬間、我を忘れ、争い、奪おうとしたに違いなかった。それは二人にとっても例外ではなかったはずだった。
「アニス…」
 しばらくその輝きに心を奪われていたルースが振り返った。そこにはいつの間にか霧が立ち込め、自分以外のものは何も存在していなかった。

「ルース?」
 その時、アニスの身にも同じようなことが起こっていた。辺りを包む濃い霧、なくなってしまった空間…。ふと後方で声がした。
「ルース!?」
 アニスは反射的に声のするほうに振り向いた。
『おまえは何者か…?』
 白く濁る霧の中に、あらい息遣いとともに、ルビーのように真っ赤に輝く二つの眼があった。驚くことにそのひとつひとつはアニスの頭ほどの大きさがあった。獣であった。
「あたしはアニス。『竜の宝玉』を取りに来た」
 アニスはひるむ事なく、また言葉を隠す事なくありのままを正直に告げた。
『グルルルルルル…』
 獣の唸り声が霧の中で反響し、アニスを包み込んだ。それは今にも襲いかからんとする魔獣のもののように思えた。
『欲しくば、一つの魂を置いて行け』
「え…?」
 霧がゆっくりと流れ、獣がアニスの後ろを指さしたように思えた。そこには顔色を失ったルースの姿が浮かんでいた。まるで回りの霧に捕らえられているかのように。
「まさか、宝玉と引き換えにルースの命を…!?」
 アニスは唖然とした。宝玉と親友の命を秤にかけるなど、予想外のことだったからだ。
『考えはしなかったのか?』
 獣は言った。
『何をためらうことがある?宝玉が欲しくば魔法使いの魂を我に捧げよ…魔法使いは既に同意した』
 獣の口が霧の中に裂けて見えた。アニスの心臓は一瞬にして凍りついた。
「ルースが…宝玉を得るために、命を差し出すことに同意した…?」
『おまえの剣によってのみ、魂を捧げると同意した』
 獣はアニスを急かせるように言った。
『宝玉が欲しいのだろう…?』
 宝玉…とても魅力的な言葉だった。それ自体の輝きもさることながら、獣の言葉も巧みで、アニスの心を揺さぶり続けた。アニスは両肩を震えさせながら、獣とルースの間で苦悶の表情を浮かべていた。
『宝玉は既にお前の手の内にある…』
 獣が言ったときだった。
「ルースがいなくなるなら宝玉なんていらない!ルースの犠牲の上に世界を救おうなんて考えない!大切なものはみんな守りたいもの!」
 アニスは頭を大きく何度も横に降ると叫んだ。
『古より人間はこの宝玉を欲っした。なぜならこれは力の源であったから…。お前もこれを手に入れれば、何でも思いのままだ…欲しくないはずはあるまい?』
 触れたら最後…魔法使い共々お前の魂も我のもの…。アニスには獣がそう言っているように聞こえてならなかった。
 獣はどうしてもアニスを誘惑したいようであった。過去、ここにたどり着いた何人の人間がこの誘惑に打ち勝ってきたのだろうか。いや、宝玉がここに輝く限り、それに打ち勝った者は一人もいるはずはなかった。すべての者は獣の言葉に魅了され、我を忘れ、友を、そして自らを血に染める結果になったにちがいなかった。
 獣は言葉巧みにアニスの心に忍び入り、自ら宝玉に触れさそうとしていた。
『これを手に入れれば、お前は魔王に勝てる…勝ちたいのだろう?魔王に。守りたいのだろう?お前の世界を』
 獣は、まるでアニスの心をすべて見透かしたかのように話続けた。
『お前は世界の征服者にもなれるのだ…』
 この言葉はアニスの心を大きく揺り動かした。
 アニスは無言のまま腰の剣を抜いた。そしてルースの方へと振り向いた。
「あたしは、世界なんていらない。大切なものをなくしてまで、何かが欲しい訳じゃない。だけどあんたは許せない。ルースの心を踏みにじり、たくさんの純真な魂を汚し、喰らってきたあんただけは…!」
 アニスは獣の方に向き直り、剣を構えた。その顔は怒りに満ち、戦女神のように凛々しかった。
「宝玉なんていらない!伝説はここで終わりよ!!」
 言いながらアニスは駆け出し、霧の向こうの獣めがけて斬りつけた。
『無駄なことを…』
 獣の大きな眼がニタリと笑ったような気がした。が、それは次の瞬間には引きつり、洞窟の穴のようにさらに大きく見開くのだった。
『…そんな…バカな…』
 両手に力を込めるアニスの後ろで、彼女の心に触れた魔法使いが霧に縛られながらも呪文を口ずさんでいた。獣の二つの眼の間を同じ色の線が幾筋も走り、大きく広がった。己の力を過信し続けてきた獣にとって、それは驚愕以上の何ものでもなかった。人間の欲望のみの魂で生きながらえてきたものにとって、彼女たちは、異質な存在そのものだったからだ。欲望に支配されぬ、強靭な魂の持ち主たちであった。

『グォォォォォォ…』
 霧が渦巻き、アニスとルースを包み込んだ。洞窟は、内部がまるで獣そのものであったかのように震えだし、崩れ始めた。
 獣の呪縛から解き放たれたルースは、突風に吹き飛ばされ、気を失っているアニスに駆け寄り、その体を抱き寄せた。
「一刻も早くここから出なくては」
 気ばかりが焦っていた。
『持って行くがよい』
 背後で微かな声が聞こえた。それが獣のものであると知ったとき、命の縮まる思いがした。
『お前たちの、友を思いやる心に敬意を示そう…。その汚れなき魂にこそ、この宝玉は相応しい』
 そこには年老いた竜がいた。そして気がつくと、ルースの手の中に星に似た輝きを放つ小さな宝玉があった。
『その者には知らせるな。それは我が極印を押した魔法の玉。その者に相応しき極印を押した魔法の玉…使い方は何れ解ろう…』
 竜はゆっくりと眼を閉じた。
『暗黒の時代が近づいておる…』
 竜と二人の間に大きな岩が落下し、ルースは竜の話を聞き続ける事ができなくなった。
 ゴォォォォォォォォォ…
 走る後から天井が崩れ、地面は陥没していった。ルースはアニスを背中にかつぎ、必死で来た道を引き返していた。長い通路、巨人影が支える大ホール、曲がりくねり、上っては下りる迷路のような道。地響きは二人のすぐ後ろを追ってきていた。

 ドォォォォ…ン!
 暗闇の中でこだましたそれは、日の光に輝く森の中までは届きはしなかった。
 二人は伝説の『竜の宝玉』を手に入れた。しかもそれには竜自らの極印が押されていた。後に、旅立つアニスに、ルースが護りの魔法として持たせたペンダントがこれであった。
 竜が言ったように、また彼女たちが案じていたように、それは数日後にやって来た。魔王の侵略。そして旅立ち…。大切な家族を、光の世界を取り戻すために、アニスは一人旅立った。
 彼女は知らない。その身に、とてつもない力を携えていることに。そしてこれからの旅の道程と出会いを…。

 空には暗雲が立ち込め、町はすっかり闇色に変わっていた。丘に登り、それらの景色をしっかりと胸の奥に焼き付けると、決意も新たに口元を引き締め、アニスは踵を返した。
 ただ、とどまることを知らない風だけが、彼女を見送る唯一のものであった。

END

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2010年4月 9日 (金)

魔法の極印 前編

 雲ひとつない青空の下、長い時間人の入り込んだ様子のない鬱蒼と繁った森を抜けると、一筋の清らかな川の流れに出くわす。遥か北にそびえる山脈から流れ来るその水は刺すように冷たく、その水面に揺れる木々は白昼夢のように神秘的で美しかった。それ程大きくも深くもないこの川を渡ると、一変して巨大な獣が口を 開け、獲物を待ち構えているかのような漆黒の、先の見えない洞窟がひとつあった。入り口の下半分を雑草に覆われ、あと数年もすれば、草の成長とともにその入り口はすっかり隠されてしまったにちがいなかった。その洞窟は見る者によっては、まがまがしく見え、かつ神秘的にも見えた。

「本当にここにあるの?」 その入り口に立った小柄な少年戦士風の少女が、隣にいる自分より背の高い浅黒い肌の少女に問いかけた。
「噂と、記された文字が本当なら…多分ね」
 答えた少女は半信半疑ながらも、ここにあってほしいと願うのだった。
 彼女ら二人が探しているものは、『竜の宝玉』と呼ばれる魔法の玉で、それには強大な魔法が封じ込められており、それを手に入れた者はその魔法を己のままに自由に操ることが許されるという。古文書にも記され、伝説になろうとしていたものだった。
 大昔より、それを手にしようと数知れぬ魔法使いたちがこの地を訪れた。が、未だにそれを成し遂げた者はなかった。そして少年戦士風の少女と女魔法使いの彼女たちは、何十年ぶりかに訪れた久々の探求者であった。
「ここには魔獣がいるらしいの。どんな奴かはわからないけど…アニス、あんたの剣の腕、期待してるからね」
「うん、でも魔法獣だったら、ルースの魔法もあてにしちゃうからね」
 二人は顔を見合わせ、にっこりとした。まるでやりかたのわからないゲームを、心から楽しもうとしているかのように。
 入り口に繁る草を剣で薙ぎはらってから松明に火を灯し、まずルースが先頭に立った。洞窟の中は漆黒の闇に塗り潰され、空気は鋭利な刃物のように澄んでいた。松明の揺れる炎が映し出す二人の影は、怪しく洞窟の壁や天井を乱舞し、今しも己の主に襲いかからんとしているように見えた。高さ2メートル、横幅は大人が二人並んで少し余裕のある程度の広さで、剥き出しの地面に比べて壁や天井は人の手が加えられたらしく、いくぶん滑らかだった。道は時には右に折れ、左にカーブし、上り坂になったかと思えば下りの階段が出現したり。もうどれくらいこの暗闇の中を歩いて来たのだろうか。闇の中では時間すらも死んでしまったかのような錯覚に捕らわれる。
 闇の重圧に苦痛を覚え始めた時だった。
「あいたっ!」
 ルースのすぐ後ろを歩いていたアニスが悲鳴を上げた。
「どうしたの!?」
 驚いて振り向き、アニスの方に松明をかざす。
「なにかにつまずいたみたい。この辺なんだかゴツゴツしてるから」
 洞窟に入ってからどのくらい進んだのか、先程から足元の起伏が激しくなったように感じていた。
 ルースがアニスの足元を照らした時だった。
「うっ…」
 アニスをつまずかせたゴツゴツしたものは、半ば土の中に埋もれた頭蓋骨であった。辺りをよく見ると、丸いもの、長いもの、新しいもの、古いもの、まだ衣服をまとったものと、様々な人間の骨が散乱していた。
「これは…」
「例の宝玉を探しに来て、この洞窟から出られなかった人達のものよ」
 アニスは思わず目を覆った。
 一体『竜の宝玉』とはどのようなものなのか。古より人々をこんなにも引き付けて離さないそれは、そんなに素晴らしいものなのだろうか?何かと争ってまでも手に入れたいものなのだろうか?未知なる魔力を封じた、その宝玉を…。
 何だか目的中ばで息絶えた彼らの空しい叫び声が聞こえてくるようだった。いや、実際それは二人の聴覚を刺激していた。
「オォォォォォォォォォ……」
 闇の奥か、地の底か、低く震えるような震動が二人を恐怖に陥れようとしていた。魂の叫び声…。洞窟の闇よりもさらに濃い闇がいくつもの人の形をとり、二人の目の前に現れたのだ。「ここで死んだ人達の魂!?」
 アニスは慌てて立ち上がった。
「全き力を手に入れたかった、純真な心を持つ魔法使いたちでも抜け出るのは困難だったって言うわ。ましてやここには獣がいる。邪まな心を持ってここに入った者たちは多分、その獣に殺され、魂をここの闇の中に封じ込められたのよ。そして新たにやって来た人間を襲うようになったのよ。運良くこの場所を通り過ぎてもまだこの先に何かが待ってる…いくつか用意された難関をクリアーして行かないといけないようね」 ルースは冷静に考え、その答えをアニスに伝えた。
「どうすればいい?こいつら長いことここの闇に取り込まれてたせいで、この洞窟の力を吸収してるはずよ」
 言いながらアニスは腰の剣を抜いた。
「オォォォォォ…」
 影たちは地面、壁、天井と、石と石の隙間から染み出る水のごとく湧きだし、その数を増やしていった。「剣を…」
 ルースがアニスに促すと、アニスは細みの長い剣をルースの目前に突き出した。
「光りに護られし古き大地の子よ、光と風の司の名において闇の封印を解きたまえ…」
 ルースはアニスの剣を人差し指でスーッとなぞった。
「すべての闇の封印を解かないように!彼らの魂を搦め捕っている闇だけ!わかった?アニス!!」
「わかってるって!」
 言うや否や、アニスは剣を振りかざしていた。天井につっかえないように少しかがみ、人形をとる闇に斬りかかった。縦横斜めに切り裂かれた闇は、一瞬その切り口を銀の滴が弾けたように輝かせ、左右に離れ、それぞれは自分の属する元の闇へと素直に引いていくのだった。それが何回、何十回続いたのだろう、前進を続けながら捕らわれた魂たちを解放し続けたアニスたちは、いつの間にか長い廊下のような通路を抜け、開けた空洞に出ていた。もう、二人を追って来る影も見当たらなかった。
 その空洞はホールのように広く、天井も先程の通路に比べて数倍も高く、時を重ねた鍾乳石がびっしりとぶらさがっていた。
「あれが落ちて来たら一巻の終わりだね」
 天井にぶらさがる時の産物を見上げながら、アニスは呟いた。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
 最初は小さく、長く、それは響いていた。
「どうやらあんたには予知の能力があったみたいね。それとも予言者の血を引いてるのかしら?」
 困ったわね、と眉を寄せ、ルースがため息にも似た呟きをもらした。
「間がわるかったね、ちょっと…」
 別にあたしのせいじゃないよ、とアニスが言う。
「灯を…」
 言うとルースの手のひらに青白い炎が生まれた。
「ちゃんと支えてね」
「あたしペンより重い物持ったことないんだけどなぁ」
 肩をすくめながらアニスは両手を高々と上げた。ルースはその炎をアニスに翳し、アニスの人影を作った。その影は等身大からずんずん長く伸び、ホールの壁を伝い、天井まで達した。その姿はまさしく天井を支える巨人であった。
 ゴゴゴゴゴゴォ…
 唸りは静まる気配を見せなかった。が、ルースの魔法が生み出した巨人影がそれを支えている限り、それ以上何も起こり得ることはなかった。
 大きなホールを足早に抜けた二人は、再び先程と同じ暗い通路を進むことになった。
「…!」
 突然立ち止まったルースの背中に突進し、アニスも立ち止まった。
「何?ルース」
 今度は何が現れたのだろう、アニスはルースが見つめる正面を彼女の肩越しに凝視した。
「魔法の匂いがするわ…。多分、この先に…あるわ!」
 口元をきゅっと結び、一点を睨むように緊張するルース。ルースの腕に触れているアニスの指先からもそれはひしひしと感じられた。
 獣がいる…。古より魔法の宝玉を守り続けて来た獣がこの先にいる…。
「もどるなら今よ。でないと…多分私たちも彼らのように、ここの闇に捕らわれてしまうと思うから」
 ルースは振り向き、アニスの意志を確認するように問うた。

To Be continued

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会員No. 123

そろそろ成田さん関係のコンテンツも作っていきたいな、と思うのですが、成田ファンの方、おられますか〜?(⌒0⌒)/~~
「F.C.MIN」の元会員さん、大歓迎です!特に関西支部の方、いらっしゃると非常に嬉しいです!
関西に限らず、元MINのメンバー、成田ファンの方、大大歓迎で〜す!!成田作品を愛するあなた!よろしかったらこちらでお話いたしましょう♪

というわけで、手始めに「MIN」の会誌に投稿した「CIPHER」のパロディをば・・・。

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2010年4月 8日 (木)

近日公開?

只今、ヒミツのBUD BOYコンテンツを準備中。お楽しみに(^-^)v

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2010年4月 6日 (火)

ココロノカガミ ②

 逆に東雲は今の状況に深い溜息をついていた。
『こんな狭い温泉で、背中合わせながら蕾と二人で湯に浸かるなど、いくら私でも理性が保てるかどうか不安だよ。まあ、万が一私の箍が外れても、蕾の方が強いからきっと殴り飛ばされるんだろうけど。・・・ははは』
 と東雲は小さく苦笑した。その時、
 つい、と自分の背中に蕾の背中があたる感触に東雲の体は硬直した。
「つ、蕾!?」
 思わず声が裏返ってしまった。
「ちょっともたれさせろ」 そう言うと蕾の体重が東雲の背中にかかった。
『ま、まずいよ蕾〜』
 東雲は思わず両手で股間を押さえた。

「蕾・・・?」
 しばらくして、幾分気持ちが落ち着くと、沈黙に耐えられなくなった東雲が、ぽつりと言った。何か話さなければ、と。
「ホントにごめんよ」
「何がだ?」
「私がヘマをしたばかりに君に大変な傷を負わせてしまった・・・」
 少々元気のない声に、蕾は慌てて答えた。
「何度も言うようだが、お前のせいではない。・・・それに、お前のおかげで露珈が現れたのだし」
「そのことなんだけど、私のおかげっていうのはどういう意味なんだい?」
 蕾が目覚めたとき、怪我を負わせたことを詫びた東雲に蕾はそう言ってくれた。それはただ単に自分を庇い、励ますためだけの言葉ではないと密かながらに感じていた。そしてそれが自惚れでないことを願いつつ、言葉の真意を知りたいと思っていた。
「そ、それは・・・」
 それは愛する者を、東雲を護りたいという一心からの事だったが、いつも東雲の優しさに反発し、殴る蹴るの暴行を加えていた自分に、今さら愛の言葉など言えるはずもなく、蕾は鼻の辺りまでぶくぶくと湯に浸かった。
 いっそここでうち明けてしまったほうが良いのだろうか。しかしどんな顔をして言えというのか。いや、今なら顔を見なくて済む。赤く染まる頬も湯のせいにできる。短絡的にそう思った蕾は、湯から顔を上げるとひとつ小さく深呼吸した。
「それは・・・お前を護りたいと思ったからだ!・・・何を失っても・・・この命にかえてでもお前を失いたくない、と強く思った。そしたら露珈が現れた・・・」
「え?」
「あの時、初めて自分の気持ちに向き合えた。どれだけお前が私にとって大切な存在なのか、思い知った・・・」
「そ、それはもしかして・・・」
 驚いた東雲が少し振り返った。それに気付かず蕾は話し続けた。
「私はお前に優しくされればされるほど、素直になれなかった。親に決められた許嫁と反発してはお前を殴りつけた。それでも優しいお前に、私はどうしていいのかわからなくて・・・。だけど気がつけば私の心の中にはいつもお前だけがいた。日ごとに募っていくこの気持ちが何なのか、わからなかった。けど、あの時全部気付いたんだ。私はお前を・・・」
 蕾はうつむいた。東雲はその先の言葉を鼓動を高鳴らせながら待った。
「私はお前を・・・」
 蕾がゆっくりと振り向いた。当然目が合った。
「∞<☆△※!!」
 まさか東雲がこっちを向いているとは思わなかった蕾は、恥じらう顔を見られたショックで声にならない悲鳴を上げながら、無意識のうちに右のストレートを繰り出していた。
 バシャ!と東雲が湯に沈んだ。
「蕾〜!!」
 左の頬を押さえながら浮上した東雲に、蕾は後ずさった。 
「卑怯だぞ、東雲!」
 顔を真っ赤にしながら蕾は叫んだ。
「ご、ごめんよ蕾」
 なぜ自分が謝っているんだ?と疑問に思いつつ、湯の中ということを忘れ、思わず一歩にじり寄った。
「あ・・・」
 ビクッと身を震わせた蕾に気づき、一歩下がった。「蕾、お願いだ。続きを聞かせておくれ。君は私を?」
 蕾は顔をそらし、きつく唇を結んだ。
「蕾?」
 東雲が湯煙の向こうで優しく微笑む。
 東雲は自分の言葉を待っている。まるで見透かされているようで言いたくなかったが、言ってしまいたい気持ちも確かにあった。言って楽になりたい。自分の想いを伝えたい。蕾は意を決したように東雲を真っ直ぐに見据えた。
「私はお前が好きだ!お前に触れたいし触れられたい!!」
「好きだ」で止めるはずが、勢い余って本音の本音を叫んでしまい、思わず両手で口を覆った。顔に火がついた思いがした。
「蕾・・・」
 東雲は嬉しそうに目を細めた。
「・・・あの時、お前を失いたくないと強く思ったんだ。お前が愛しいと、初めて気付いたんだ!」
 言ってしまったついでとばかりに、蕾はさらに白状した。
「多分、初めてお前を見たときから私は、お前に惹かれていたのだと思う。だけど私はこんな性格だ。自分の気持ちに気がつくのにこんなに時間がかかってしまった・・・」
「そんなことはないよ。蕾、君はずっと私を見ていてくれたんだね。君の本当の気持ちを知ることが出来てうれしいよ」
 いつの間にか、東雲がちょっと手を伸ばせば触れられるほどの位置ににじり寄っていた。
「東雲・・・」
 蕾は恥ずかしそうに、少しうっとりとした眼差しで東雲を見た。
「触れても・・・いいかい?」
 東雲が微笑みながら首を傾げた。
「ん・・・」
 蕾は小さくうなずいた。
 東雲は両手で蕾の頬を包み込むと、そっと自分の方を向かせた。微かに震えているのがわかり、それが尚更愛おしさを増す。
「好きだよ、蕾・・・」
 東雲の唇がそっと蕾に重なった。たちまち森の香りに包まれた蕾は一瞬我を忘れ、体を東雲に密着させると背中に腕を回していた。東雲の手も蕾の頬から離れ、強く引き寄せるように肩を抱きしめた。そして片手が背中から腰、臀部にと触れた感触で蕾の目が覚めた。
「ちょっと待てーっ!」
 両手で勢いよく突き飛ばされ、東雲は吹っ飛んだ。蕾は両手を交差し体を隠しながら、真っ赤になった。今更ながら、自分たちが裸であったことに気付いたのだ。
「ひ、ひどいじゃないか、蕾〜。背中に手を回してきたのは君のほうだろう」
 溺れそうになった体を立て直し、更に岩に打ち付けた体をさすりながら東雲は訴えた。
「そこまで許した覚えはないー!」
 肩まですっぽりと湯に浸かり、蕾は叫んだ。
「それにしても蕾、君って、存外というか、やっぱりというか、結構小さ・・・」
 自分の体に当たった感触を思い出しながら手で形作り、にこやかに言う東雲に、無言の右ストレートが炸裂した。
「上がるぞ!」
 湯にプカプカと浮かぶ東雲を尻目に蕾は湯から上がると、体を拭き、新しい着物に着替えた。
「ああ、待って。新しい包帯を・・・」
 と、慌てて東雲も上がり、身体も拭かずにまだ生乾きの着物を手早く羽織った。
 やわらかい草の上に座り、東雲は丁寧に蕾の傷に薬を塗ると、包帯を巻き付けた。そっぽを向いている蕾の顔をチラと見た。湯にのぼせているせいか否か、未だに顔の赤みは消えていなかった。
「蕾、こっちを向いて」
「?」
 ふと顔を向けたと同時に再び唇をやわらかく包まれた。今度は長く、そして深く。唇が離れた後、少し戸惑う蕾に東雲はいつもの優しい微笑みを投げかけた。
「愛しているよ、蕾」
「わ、私もだ・・・」
 もう自分の気持ちを偽る必要はなかった。そう思うと、素直な言葉が口を衝いて出るような気がした。
 照れくさそうにうつむく蕾の顔を上げさせ、東雲は三度唇を重ねた。

 木漏れ日が湯煙をキラキラと光らせながら、そんな二人を優しく包んでいた。

 後日、打ち身に泣く東雲が、風邪をひいたのは言うまでもない。

END

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2010年4月 5日 (月)

ココロノカガミ ①

 様々な美しい花々が咲き乱れる常春の郷、華恭苑。花の帝、錦花仙帝の皇女であり、御大花将の位を賜ったばかりの蕾が、下界に降り、ひと騒動を起こし負傷したのは聖矛授与の儀を一週間前に控えてのことだった。
 今は儀式の前に大事を取り、不本意ながら毎日を寝台の上で過ごすことになっていた。しかしそんな扱いが気に入らず、隙あらば宮を抜け出そうと試みるが、老伯将の計らいで宮の周りは花士たちによって厳重に固められ、簡単にはそれを許してはくれなかった。

「まったくもってうっとうしい!」
 次期御大花将に任命されたものの、聖剣が現れぬことで思い悩んでいた蕾は下界で怪魔と対峙した折り、東雲を庇い背中から腹部にかけ大怪我を負っていた。しかし当の本人は体が鈍ることを嫌い、周りの心配をよそに剣を持ちたがった。
「蕾、あまり無理をいうもんじゃないよ」
 蕾の怪我の手当に訪れていた神扇山の第八皇子、東皇使 東雲が、包帯を替えながら軽くたしなめた。
 蕾の背中と腹部には、塞がってはいるものの、まだ生々しい傷跡が残っていた。これが自分の失態から招いた結果であることを思うと、東雲は強く悔やまずにはおられなかった。
「傷ならもう大丈夫だ。みな騒ぎすぎなんだ」
 表情を曇らせ、少し辛そうに手当をする東雲に気付き、蕾は言った。
「だけど退屈で死にそうだ。まさか聖矛授与の日までこうしてじっとしていろとでも言うのか?そんなの私はごめんだぞ!」
 手当の終えた蕾はゴロリと仰向けになった。
「確かに、一日足りとじっとしていられる君ではないものね」
 蕾の愚痴に納得した東雲がクスクスと笑った。そしてしばし何事かを考える仕草を見せてから、ポンと小さく手のひらを叩いた。
「・・・蕾。玉泉洞に行くかい?」
「玉泉洞?あの御霊泉の湧く洞窟か?」
「ああ。あの近くに薬湯(くすりゆ)の沸くところがあってね、それが傷によく効くのだよ。治療のためだと言えば老伯将も納得して君をここから出してくれると思うんだけど?」
 名案、とばかりに東雲は微笑んだ。
『温泉か・・・』
 と蕾は少し考え、とにかくここから出られるなら何でも良い、とニヤリとずるそうな笑みを浮かべ、すぐさま承諾した。
「いいだろう。退屈しのぎにもなる。今すぐ行く!」

 神扇山と華恭苑の境界近くにある玉泉洞は、鬱蒼とする森の中にあった。黒く大きく穿たれた洞窟を小さな灯りを携え、しばらく歩くと景色が一変する。そこは広くはないが、華恭苑のごとく花々が咲き乱れ、木漏れ日がキラキラと緑を輝かせる聖域だった。
 霊泉の湧く泉には祠が建てられ、訪れる者の誰もが禊ぎができるように水中には階段が設えられ、すぐ傍らには小さな東屋があった。その泉の脇を通り、さらに木々の奥へ進むと、ほんのりと湯煙が漂ってくるのがわかった。泉よりも二周りも三周りも小さな泉の底からはボコボコと湯が沸き出し、温かな湯気を立ち昇らせ、森林の香りを漂わせていた。
 東雲は抱えていた蕾の着替えがくるまれた布包みを傍らの木の下に置いた。
「つぼ・・・」
 声をかけようと振り向いた東雲の呼吸が一瞬止まった。その視線の先には帯を足下に落とし、今しも衣を肩から滑らせようとする蕾の後ろ姿があった。思わず一挙一動に釘付けになった。
 妙な視線に気付いたのか、ふと肩越しに蕾が振り返った。
「東雲、何を見ている!向こうをむいていろ!」
「あ・・・、ご、ごめんよ」
 睨みをきかされた東雲は顔を赤くすると、バツが悪そうに慌てて背中を向けた。
 チャプン・・・と静かに音がして「もういいぞ」と声がかかった。うっすらと漂う湯気の向こう、乳白色の湯から肩を少し出した蕾の顔が滲んでいた。
「どう?湯加減は。傷には染みないかい?」
 縁を楕円に囲むように設えられた岩に腰掛けながら、東雲が訊ねた。
「ああ、ちょうどいい。傷にも染みない」
 パシャっと蕾は片手で自分の肩に湯をかけた。
「ここはその昔、大火に見舞われたことがあるそうだよ」
 思い出したかのように東雲がぽつりと呟いた。
「え?」
「それは一人の花仙がもたらしたものらしい」
「花仙だと?そんな能力を持つ者がいたのか?」
 花仙と聞き、一瞬蕾の表情が御大花将へと変わった。
「ああ。なぜそんなことになったのかは、わからない・・・。その頃はその花仙に係わっていた者がここを守護していたらしい。でもそんなことがあってからここは結界で護られるようになった。あの洞窟、あれが結界の出入り口になっているんだよ」
「で、その花仙はその後どうなったのだ?」
「さぁ。詳しい話は知らないけど、それ以来ここだけ湯が沸くようになったらしいんだ」
「・・・ふぅん」
 自分の知らない昔話に、思いを巡らせるように蕾はうつむいた。全ての花や花仙たちを護るべく御大花将となった蕾。もしその大昔に自分が花将として存在していたなら、その花仙を救うことができただろうか。今は東雲一人も護りきれなかった自分に不甲斐なさを感じつつ、それでもかけがえのない者達を護りたい一心で、蕾は聖矛授与の儀をある意味心待ちにしていた。
『東雲・・・』
 湯気の向こうに揺らぐ東雲の横顔をぼんやり見ながら、聖剣が現れた時の自分をふと思い出した。あの時自分は何を思い、何を叫んでいただろうか、と。
「蕾?」
 そんな時に声をかけられたものだから、まるで思っていたことを声に出していて東雲に聞かれたような気になった蕾が「うわぁ!」と叫びながら両手をブンと降った。
「つ、蕾・・・?」
 全身ずぶ濡れになった東雲がポカンと口を開け、こちらを見ていた。
「あっ・・・」
 思わず湯をぶっかけてしまった蕾がほんの少し済まなさそうに顔をしかめた。
「やれやれ・・・」
 と溜息をつきながら、東雲は濡れた着物を脱ぎ、近くの枝に掛けた。そしてブルッと身震いした東雲に
「お前も入れ」
 と蕾が言った。
「えぇっ!?」
 驚いた東雲が振り返ると、申し訳なさそうな表情の蕾が目線を逸らしていた。
「そのままでは風邪をひいてしまう。着物が乾くまでお前も浸かっていろ」
「え、でも・・・ックシュ!」
 小さなクシャミをしながらも、
『女性と同じ湯に浸かるなんて、しかも蕾とだなんて、それはまずい。非常にまずいよ』
 と、一人赤面し困惑する東雲に蕾は更に湯を浴びせかけた。
「早く入れ」
 とうとう下着までびしょ濡れになった東雲は、ついに観念し、
「わかったよ。脱ぐからあっちを向いてておくれ」
 と恥ずかしそうに答えた。
 大人が5人程入って少し余裕のある大きさだったので、蕾が背中を向けると暫くして東雲が湯の中に入ってきたのがわかった。
 背中合わせの二人は完全に固まっていた。
 ちょっと軽率なことを言ってしまったか、と少々後悔しながらも、蕾は東雲のことを意識すると、どうしても下界でのことを思い出してしまうのだった。
『私はいつからこいつのことをあんな風に思い出したのだろう。親同士が勝手に決めた許嫁と反発したものの、本当は心のどこかで嬉しかったのではなかったか?だけどそんな気持ちにすら気付かず、素直にこいつを受け入れることができなかった。確かに、初めて会った日に私もこいつのことを見ていたのは事実だ。でもそれを知られるのが嫌で、自分の気持ちを認めるのが恥ずかしくて、ついついこいつを殴ってしまってた・・・。それでも気がつけばいつもこいつのことばかり考えていた。頭から離れなくなっていた。それが好きという気持ちだったのか?わからない・・・。わからないけど、私の東雲に対する気持ちに聖剣は応えてくれた。もう、認めざるを得ない。・・・でも今更言えるわけない。お前が愛しい、と。そしてお前に触れたい、触れられたい、などと・・・』
 一人悶々と考えを巡らせるうちに、温泉のせいなのか、気持ちのせいなのか蕾の体は足の先から頭の先まで真っ赤になった。

To Be continued

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いいわけ

「万華鏡」のいいわけを少し…;
このお話は夢オチ、と言うあるい意味卑怯なオチで終わっておりますが、これはこれでひとつの話で、皇女蕾の部分はその部分だけで、また別のひとつの話でもあったります。なんか上手く説明できなくてすいません^^;ややこしいですねf(^^;まぁ、パラレル、とでも思っていただけるとありがたいです。はい。そして、話の中に出てくる皇女花将の聖剣は「花枝室」さまからお借りしています。かんらんさん、いつも有り難うございますm(__)m
そしてそして今回はそんな「万華鏡」の続きです。「小話その2」とちょっとネタが重なっちゃってますが、二人がラブラブなのでご容赦下さいませねf(^^;

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2010年4月 4日 (日)

東雲×皇女蕾 ***小 話 その2***

「違うだろ・・・」
 入浴中の皇女蕾は、ほんわりとグリーンに染まったお湯を手のひらでちゃぷちゃぷさせながら、大きく深呼吸した。そして眉間に小さくシワを寄せ、つぶやきながら首をかしげた。

 翌日、透のマンションに同居している蕾に呼びつけられた東雲は、何がなにやら訳もわからず、風呂へ入るよう強くすすめられた。
(こ、これはもしかして・・・!?/////)
 今夜は透も留守だという。あらぬ妄想と期待を抱きながら、東雲は言われるままにちょうど良い湯加減の湯船に浸った。
「蕾、きみも一緒に入るんだろ?」
 東雲は様子を伺っているかのような、磨りガラス越しに見える影に、ワクワクしながら声をかけた。
「ば、ばか者!///どうして私がお前と一緒に風呂に入らねばならんのだ!?/////」
 影の様子だけで蕾が狼狽えているのがよくわかった。
「で、でも・・・」
「うるさい!お前はゆっくりと湯に浸かっておればよいのだ!!」
 そう言うと、蕾はとっととその場から離れてしまった。
(えー!?じゃあなぜ、わざわざ私を呼びつけてまで風呂に?あ、そうか。その後だ・・・)
 風呂上がりの後のことをあれやこれやと妄想する東雲は、満面の笑みを浮かべながらブクブクと湯の中に沈んでいった。

 30分後・・・

「用は済んだ。帰って良いぞ」
「ええっ!?」
 湯上がりゆえにほてっているのか、桜色の頬をしながらニコニコと蕾に近づく東雲に、蕾は素っ気なく背中を向けた。
「私もこれから湯に入る。・・・覗いたりなどしたら・・・わかっているな?」
 ギロリ、と肩越しに鋭い視線を向ける蕾に、せっかくあたたまった東雲の体は、一気に冷めていくのだった。
 スゴスゴと肩を落としながら部屋を出て行く東雲の背中を確認すると、東雲が入ったおかげであたたまっている浴室に踏入、さほど広くない浴室内をなにやら確認すると湯船にそっと滑り込んだ。
「ふぅー」
 そして大きく深呼吸すると、満足げに口元をゆるめた。
「さすが本物は違うな」

 浴室の片隅には、一度使っただけの入浴剤の容器が置かれていた。よく見るとラベルには『森の香り』と書かれていた。

 本物の『森の香り』に包まれ、蕾の入浴は1時間以上にも及んだのだった。

おわり

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2010年4月 3日 (土)

ちっちゃ^^;

ちっちゃ^^;
宇陀市大宇陀区にある又兵衛桜です。ちょっと近くまで来たので寄ってみました。ゆっくりと見ている時間がなかったので、車窓からの写真ですf(^^;

数年前に一度来たことがあるんですが、桜の周りがきれいに整備されてたりと、なんかえらく変わった感じがしました。

この桜は、何年か前のNHKの大河ドラマのオープニングに使われていたことがあります。樹齢は300年位だったかな?
それにしても、ちっちゃいなぁf(^ー^;

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2010年4月 2日 (金)

珍品?貴重品?

珍品?貴重品?
珍品?貴重品?
珍品?貴重品?
数年前、BUD本を作っていた時に霊元天神様から数冊賜った、某国版のBUD BOY本の一冊です。タイトルが「御花少年」…思わず笑っちゃいました(^^;
中身は漢字の表記が難しく、台詞もなんとなく想像できるかな?てな感じです。ひとつ面白いのが、薫さんは蕾のことを「蕾」、彩八将は東雲のことを「東皇使」、羽矢房は薫さんのことを「妙香花仙」等と呼び捨てなんです(笑)

画像は携帯の写真で小さくて見にくいかと思いますが、台詞、解読してみて下さいね(^-^)

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2010年4月 1日 (木)

万華鏡 ⑦

 天界は花恭苑、蕾は自分の宮の部屋で目を覚ました。
「気分はどうだい?」
 声のする方を見ると優しく微笑む東雲がいた。
「東雲!無事だったのか!?・・つっ・・・!」
 東雲の無事な姿を見て、慌てて起きあがろうとすると腹部に鈍い痛みが走った。
「まだ無理をしてはいけないよ、傷は完全にはふさがっていないから」
 東雲はゆっくりと蕾の半身を起こすと、自分も寝台に腰掛け、蕾の背中を支えるように座らせた。
「おぼえているかい?露珈が現れたこと・・・」
 東雲の笑みは変わらなかった。
「ああ・・・」
 蕾は自分の左手を見つめながら小さく呟いた。まだうっすらと感触が残っていた。
「君が下界へ降りた本当の理由は誰にも言ってない。だから後で大目玉を食らうことになると思うけどね」 東雲は少し楽しそうに笑った。しかしそんな表情もすぐに神妙な面もちに変わった。
「露珈のことで君が悩んでいて、思いあまって下界へ降りてしまったこと、気付かなくってごめんよ。それに私のせいで君にこんな怪我を負わせてしまった」
 東雲は不甲斐ない自分を恥じていた。
「そんなことを言うな。これしきの傷、お前が治療したのならすぐに良くなる。それに露珈が現れたのはお前のおかげなんだから」
 蕾は右手で、包み込むようにそっと東雲の頬に触れた。その指の細さ、冷たさに東雲はドキリとした。
「え?」
 いつになく優しい表情と言葉をくれる蕾に、東雲はとまどった。
「自分勝手な感情だった・・・お前を・・・お前を護りたいと強く思った・・・私の命に換えてでも、と・・・」
 蕾の笑みはやわらかかった。
「蕾・・・」
「お前はいつも真っ直ぐに私を見ていてくれた。だけど私は・・・ずっと自分の心に素直になれなかった・・・」
 蕾は両手で東雲の顔を包み込んだ。
「だけどもう嘘をつくことはできない。東雲、私はお前を・・・」
 すぅっと近づく花の香りに一瞬息が止まった。そして微かに震える花びらが東雲に触れ、ゆっくりと離れていった。
「蕾・・・」
 東雲は一瞬呆然となった。

 いつの間にか辺りには甘美な香りが立ちこめていた。
「東雲・・・こっちだ」
 後方で蕾の声がした。
「!?」
 振り向くとそこには、白い肌も露わな蕾が両手を広げて東雲を呼んでいた。
「つ、蕾・・・?」
 その姿に少し頬を染めながらも、東雲の足は一歩、前へ出ていた。
 どこからともなく脳髄をくすぐるような妙なる楽の音も聞こえてくる。抗いがたい香りと楽の音、そして麗しい蕾の姿。
 今すぐにでも抱きしめたい、自分のものにしてしまいたい。心の奥底の願望を達成させたい・・・。そんな欲望が次々に東雲の心を支配していった。
「東雲・・・」
 蕾の柔らかいふくらみが手に触れた。

『そう、それで良い・・・。それで皇女はそなただけのもの・・・。お前の欲望のまま誰にも邪魔されることなく、こちらの世界で過ごすがよい』
 なんとも魅惑的な言葉に東雲は思考することを忘れかけていた。
「東雲・・・あぁ・・・東雲・・・」
 目の前の蕾が体を預け、自分の名を楽の音のような声で呼んでいる。
「私は・・・」
 東雲は朦朧とする意識の中、自分の腕の中で小さく身を震わす蕾をじっとみつめた。蕾も大きな瞳で見つめ返している。そしてその瞳の中に映るものは・・・。

「・・の・め・・しの・・・め・・・!東・・雲・・・東雲!!」
 甘い香り、麗しい思い人に意識が支配されそうになった時、怒鳴るような激しい声が頭の中で響き、東雲はハッとなった。この声は・・・。
「違う!これはうそっぱちだ!」
 顔面蒼白になった東雲は、自分の腕の中にすがるように身を寄せる蕾を引きはがすと、突き飛ばした。
「しの・・・め・・?」
 大きく倒れた蕾は、体が床に届く前に、体が溶けてしまうようにすぅぅと消えていった。
「これは・・・!?」
 辺りは深い霧に囲まれていた。もちろん天界の蕾の部屋も跡形もなく消えている。
「東皇使よ、何を迷うことがある。これはそなたの望んだことではないのか?」 気がつくと、目の前には世にも美しい女天神の姿があった。神々しい姿に優しい笑みを浮かべながら女天神が語りかけてくる。
「女天神・・様・・・!?」
「さあ、こちらに参るがよい、こちらにはそなたが望むもの、もう一つの可能性が存在しているのだ」
 女天神は東雲に手をさしのべた。
「私の、望むもの・・・?」
「そう、そなたの望むものだ。言ってみるがよい」
「私の望むもの・・・それは・・・」
 東雲の脳裏には蕾の姿があった。しかしそれは先ほどまでの皇女である蕾ではなく・・・。その時だった。再びどこかで自分を呼ぶ声を聞いたような気がした。
「さあ、こちらへ来るのだ東皇使よ」
 女天神が手招きしている。辺りを気にし、少し焦っているようにも見えた。
 甘い香りと妙なる楽の音、その二つが思考能力を奪い、抗いがたい気持ちにさせる。
「私は・・・」
 東雲は目眩を起こしそうな女天神の声に、片手で顔を覆った。
「早く来るのだ東皇使!」

 女天神は手を伸ばすと、東雲の腕につかみかかろうとした。
「東雲!」
「!?」
 先ほど一瞬我を取り戻させてくれた懐かしささえ憶える呼び声で、今度こそ東雲の意識ははっきりと覚醒した。そして女天神の腕を振り払うと、叫んでいた。

  「森玄霊玉 祓濯!」
 正常な森林の大気が辺りを包み、ぼやけていた景色が確かな形を取り始めた。

  「ぐぅっ!あと少しで・・・!」
 女天神は息を詰まらすと、二度目の失敗に舌打ちした。そして厄介者の気配を感じると、長居は無用とばかりにその姿を消したのだった。

 そこは都心の外れにある森の一角だった。
「東雲!」
 憔悴し、その場に座り込んでしまった東雲のそばに舞い降りたのは、彼を現実世界へと呼び戻した張本人、蕾であった。
「蕾・・・」
 ホットしたような微かな笑みを蕾に向けた。
「ばか者!勝手に居なくなりおって!もしまた余音の術中にでもはまったらなんとするつもりだ!」
 言われて、自分が余音こと、エセ天神の気配を感じ、飛び出したはいいが、結局はおびき出されたことを思い出した。そして内に眠る願望と欲望の海を覗かされていたことも。
「すいません・・・」
 東雲は申し訳なさそうに謝った。
「お前が無事ならそれでいい、帰るぞ!」
 半ば呆れながらも、安堵した表情を見られまいと背中を向けた蕾は、ため息混じりに言った。その後ろ姿が東雲には少しだけ皇女蕾とだぶって見えた。
『前回は聖仙にあるまじき憎しみの心で術中にはまることはなかった。しかし今回は、正直危なかったよ。君の声が聞こえなければ、私はあのまま余音の術に取り込まれていたかもしれないんだから・・・』
「蕾・・・」
 そう思うと、無意識のうちに背後から蕾を抱きしめていた。
「だーっ、何をするか!」 蕾は東雲の腕を振り払うと真っ赤になりながらアッパーカットを見舞った。
「ハハ、やっぱり君は蕾だね・・・」
 顎をさすりながら、涙目の東雲は笑った。
「はぁ?何をわけのわからんことを!だいだいお前はなぁ・・・」
 と蕾が怒り出し、東雲が笑う。いつものことながら、やはりこれが「蕾」なんだと東雲は実感した。
 蕾が皇子であれ、なんであれ、蕾は蕾、その事実は変わらない。そして私の気持ちも・・・。だけどあの時の唇のぬくもりは忘れないよ。確かにあれも君だったんだから・・・。
「しかし、ちょっと惜しかったなぁ・・・」
 と一人残念がる東雲に、「帰るぞ!!」と怒号を発する、何も知らない蕾であった。

END

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