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東雲×皇女蕾 小話その2

東雲×皇女蕾 小話その2

「違うだろ・・・」
 入浴中の皇女蕾は、ほんわりとグリーンに染まったお湯を手のひらでちゃぷちゃぷさせながら、大きく深呼吸した。そして眉間に小さくシワを寄せ、つぶやきながら首をかしげた。

 翌日、透のマンションに同居している蕾に呼びつけられた東雲は、何がなにやら訳もわからず、風呂へ入るよう強くすすめられた。
(こ、これはもしかして・・・!?/////)
 今夜は透も留守だという。あらぬ妄想と期待を抱きながら、東雲は言われるままにちょうど良い湯加減の湯船に浸った。
「蕾、きみも一緒に入るんだろ?」
 東雲は様子を伺っているかのような、磨りガラス越しに見える影に、ワクワクしながら声をかけた。
「ば、ばか者!///どうして私がお前と一緒に風呂に入らねばならんのだ!?/////」
 影の様子だけで蕾が狼狽えているのがよくわかった。
「で、でも・・・」
「うるさい!お前はゆっくりと湯に浸かっておればよいのだ!!」
 そう言うと、蕾はとっととその場から離れてしまった。
(えー!?じゃあなぜ、わざわざ私を呼びつけてまで風呂に?あ、そうか。その後だ・・・)
 風呂上がりの後のことをあれやこれやと妄想する東雲は、満面の笑みを浮かべながらブクブクと湯の中に沈んでいった。

 30分後・・・

「用は済んだ。帰って良いぞ」
「ええっ!?」
 湯上がりゆえにほてっているのか、桜色の頬をしながらニコニコと蕾に近づく東雲に、蕾は素っ気なく背中を向けた。
「私もこれから湯に入る。・・・覗いたりなどしたら・・・わかっているな?」
 ギロリ、と肩越しに鋭い視線を向ける蕾に、せっかくあたたまった東雲の体は、一気に冷めていくのだった。
 スゴスゴと肩を落としながら部屋を出て行く東雲の背中を確認すると、東雲が入ったおかげであたたまっている浴室に踏入、さほど広くない浴室内をなにやら確認すると湯船にそっと滑り込んだ。
「ふぅー」
 そして大きく深呼吸すると、満足げに口元をゆるめた。
「さすが本物は違うな」

 浴室の片隅には、一度使っただけの入浴剤の容器が置かれていた。よく見るとラベルには『森の香り』と書かれていた。


 本物の『森の香り』に包まれ、蕾の入浴は1時間以上にも及んだのだった。

おわり