ka-rin-blog.cocolog-nifty.com > others

おちゃらけ天空戦記

おちゃらけ天空戦記

☆一番勝負「目には目を、夜叉王には修羅王を」☆

 草木が萌える天空殿近くの森の中。どこからともなくタントラが聞こえてくる。草陰から草陰へ素早く動く人影が一つ。その後に激しい爆発音。ソーマとソーマのぶつかりあう中、もう一つの影が空中高く飛び上がった。
「ナウマク サンマンダ ボダナン アビラウンケン ソワカ 修羅魔破拳!!」
 日の光を背中に受けながら、修羅王が叫ぶ。ソーマの放たれた真下には夜叉王がいた。眩しさに一瞬視界を奪われ、反撃するよりも交わすのが精一杯だった。
 修羅王の一撃を交わし、地面に転がり込んだ夜叉王。直ぐさま体勢を立て直すと修羅王の方に向き直った。
「甘いわね、夜叉王」
 傍らで声がした。木陰で羽を弄び、ほくそ笑みながら立っていたのは迦楼羅王だった。
「修行の邪魔しちゃ悪いと思って黙って見てたけど、あんたって本当に修羅王に甘いわね」
意味ありげにニンマリ笑うと、もう一言付け足した。
「夜叉王ともあろう者があんな一撃交わすのが精一杯だなんて、嘘ばっか。修羅王のこと考えるのはいいけど甘けりゃいいってもんじゃないわよ」
「え?そうなのか?夜叉王。お前今まで俺の相手をする時手を抜いていたのか?」
 夜叉王より少し背の低い修羅王が迦楼羅王の言葉を聞いてずずいっと迫る。
「えっ!?」
 突然修羅王の顔が間近に迫り、ドキッとする夜叉王。
「なぁ、夜叉王!?」
 顔は真っ赤に火照り、鼓動は迦楼羅王の所にまで聞こえそうなくらい大きくなり、頭に血が上りすぎて倒れてしまいそうな状態に陥りながら、立っているのがやっとの夜叉王。しがみつく修羅王を支えようかと両手がふるふると震える。押さえ込んでいる夜叉王の煩悩のソーマを感じ取った迦楼羅王は、さらに追い打ちをかける。
「ほらー、手加減しちゃダメよ」
 夜叉王の頭から蒸気が出た。
「貴様ー!何の恨みがあってこの夜叉王を挑発する!!」
 照れ隠しに怒ってみた。剣をすっと手にすると、その刃先を迦楼羅王に向けた。
「あらー、あたしとやる気?」
 とウインクし、さらに挑発する。
「誰がやるんだ、誰が!!」
 迦楼羅王は高らかと笑いながら、夜叉王は耳まで真っ赤になりながら、追いかけ合いが始まった。
 茂みの中を走り回り、時には軽やかに飛んでみせる迦楼羅王。夜叉王といえば、興奮のあまり迦楼羅王の首根っこをねじ伏せてやろうと、時々こけながらただひたすらに追いかける。いつもはこんな風ではないのである。真面目に闘わせれば夜叉王は修羅王よりも強く、迦楼羅王は夜叉王より強かった。
「ええい、問答無用!!」
 夜叉王は追いかけるのをやめると、タントラを唱え始めた。
「――――疾風魔狼剣!」
 迦楼羅王は楽しそうにそれを交わすと、今度は反撃に出た。
「ナウマク サンマンダ ボダナン マカ カルラ ソワカ迦楼羅・・・あ!修羅王が!!」
 突然夜叉王の後ろを指差した。条件反射(?)で後ろを振り向く夜叉王。
「迦楼羅羽吹雪ー!!」
 哀れ夜叉王は、無数の羽と共に遙か彼方に吹き飛ばされてしまったのであった。
「ささ、修羅王はあたしと天空殿へ帰りましょーね」
 と肩を抱き寄せる迦楼羅王。
「で、でも夜叉王が・・・」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。夜叉王はあんたのことに関しては誰にも譲らないが、どこへ飛んでっても這ってでも帰ってくるって」
 修羅王の背中をポンポンと叩きながら、二人は歩き出した。
「うん・・・」
 なんとなく納得してしまう修羅王。
「でもあいつ、いつも手加減してるわけじゃないから・・・」
 俯きながらぼそっと言った修羅王。
「あ、そっ」
 とばかりに苦笑する迦楼羅王。
 その頃、夜叉王は森のはずれの木の頂上で目を回している最中であった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


☆二番勝負「三年B組学園戦記」☆

 前回までのあらすじ(笑)―――――。
 天空樹の森に囲まれた風光明媚で通学条件も良い「天空樹学園」。進学校で有名なこの学園で、生徒達は楽しい学園生活を送っているはずだった。だがある日、校長であるびしぬが病に倒れ、一万年の歴史を持つ「天空樹学園」は教頭のいんどらの手の中に墜ちつつあった。執拗以上の持ち物検査や服装検査、授業料の大幅なアップ。僻地にある有名校のため、その近辺から通ってきている生徒やPTA達には文句など言える余地はなかった。しかしそんな中、無謀な教師達に対抗する生徒達も数人いた。「天竜八部衆」の異名を取り、一般性とからも恐れられ・・・あ、いや、実質よくある正義の味方的生徒会グループの八人であった。
 そして晴天極まるさわやかな朝、校門にて今日も服装検査が行われようとしていた。

 靴下が違う、カッターが違うと事細かに違反箇所を見つけては生徒を帰す。そして教科書等以外のものは没収され、二度と帰ってはこなかった。ちろんヴェーダ通学も認められていない。
「はい、次!」
 合格にかなった生徒はいそいそと校門に入っていく。そして何人か後に体育教師のくんだりーににひっかかったのは、天空樹学園生徒会会長のしゅらとであった。服装は正しかったのだが、着こなしがだらしないという。ただ学生服のボタンを2つ3つとめていず、はだけさせていただけであった。ことあるごとに生徒会を潰そうとする教師達に目の敵にされる彼ら。びしぬ校長が元気な頃は、もっとひらけた学園生活を送っていたものを・・・。
 しゅらとをかばってくんだりーにの前に出たのは生徒会副会長のがいであった。
「そうゆう先生はダサイですね」
 少し俯き上目遣いで冷ややかに死語を言ってのけるがい。くんだりーには体育教師というだけあって、薄汚れたジャージの上下に首にはホイッスルをぶら下げている。
「が、がい!貴様こそその髪はなんだ!」
 とさかにきたくんだりーにが叫ぶ。いつものことだった。
 ギンッ!と鋭い目でくんだりーにを睨むがい。その迫力に押され、一歩後ずさりするくんだりーに。がいは「ふふん」という感じで長めの髪を手でさらっと流してみせた。
「さあ行こう、しゅらと」
 そしてしゅらとの方を見るとニコッと笑い、そのまま肩を抱き合い校門の中へと入っていってしまった。
「ま、待て!」
 追いかけようとしたくんだりーにの肩を掴み、いんどら教頭が止めた。
「いい気になっていられるのも今のうちだ」
 と一人で納得して自信に満ちたようにほくそ笑むいんどら教頭。不気味だ。
「教頭先生おはようございますー」
 きゃぴきゃぴした声を出して登校してきたのは生徒会書記のれんげとその後ろに小判鮫のようにくっついているらくしゅであった。
「ああ、おはよう」
 突如に引き締まった顔で応えるいんどら。が、すぐさまれんげの持っていた大きな巾着袋に目を付ける。
「れんげ、この荷物は何なのだ?学校には必要な物以外持ってきてはならぬことになっているはずだぞ?」
 れんげの大きな巾着には、他の女生徒では持っていけない、要するに教科書以外の雑誌やらおやつ等が詰め込まれていた。
「はい、教頭先生。これは登校中先生方にお手間をかけさせるといけないと思い、私が独断で生徒達から没収した物。後で処分しようと思い、こうして持ってきたというわけなのです」
 れんげのキラキラした瞳と行動に感動したいんどらは、これこそ我が校の模範生!とばかりにそれ以上何も追求せず、二人を校内へ入れた。見送るいんどらを背に、れんげが二枚舌をだしていたことなどもちろん知る由もなかった。ちなみにれんげが持ち込んだおやつ等は後でちゃんと処分されていた。女生徒達の胃袋へと・・・。れんげならではの必勝法であった。
 道のはるか向こう側がいやにどんよりとしている。天気は晴れだというのに・・・。「孤独」を気取ったような空気に包まれ、一人の生徒が登校してきた。まりーちだった。顔に薄い笑みを浮かべながらまりーちはふらふらと歩いてくる。まくり上げた袖口からのぞかせている腕には、赤い斑点のようなものが付いている。その後を心配そうに、かつ少し離れながら歩いてくる集団もあった。まりーちの親友ひゅうが、りょうま、そしてだん、くうやであった。まりーちは校門まで来ると空を見上げ「フッ」と溜息をつき、そのまま通過しようとした。そのまりーちの腕を掴んだのは数学科のあからなーたであった。
「貴様ぁ何度言えばわかるのだ」
 怒りをあらわにしたあからなーたはまりーちを睨んだ。
「先生、オレ病気なんだ。もうすぐ死んじまうんだ。せっかく学校に来てんだから有意義な学校生活を送らせてくれよ」
 孤独に染まりきったまりーちが上目遣いで言った。
「ペーパータトゥーは没収だー!」
 あからなーたはまりーちの袖をめいっぱいめくりあげると、「赤腫斑」のペーパータトゥーを勢いよくはがした。
「うわーっ!!赤腫斑が!!」
 まりーちは絶叫し、地面に力無く膝をついた。ヒュルリラ~。孤独の風に包まれたまりーちはふらりと立ってその場を立ち去ってしまった。
「ま・・・まりーち」
 まりーちの後ろ姿を見送って、ひゅうがが呟く。
「大丈夫さ。あいつはきっと帰ってくる・・・」
 りょうまがひゅうがを励まし、四人はさり気なく校内へと入っていった。その日の昼休み、れんげを追うまりーちの姿を全校生徒が見たという。
 さて、約一名遅刻してきたうえにやたらと目立つ生徒がいた。れいがであった。れいがのクラスではちょうど英語科のとらいろーの授業だったからさあ大変。日頃から火花を散らしている二人、ピアスをつけ化粧びしばしのれいがに対抗して自分も目一杯オシャレをするのだが、どうしてもれいがに勝てない。とらいろーはいつもれいがを目の敵にしていた。その日も一時間授業が潰れた。
 そして彼らは放課後、「生徒会役員会」の名の下に翌日の作戦会議を開き、いんどら教頭は「職員会議」の名の下に生徒会撲滅作戦を立てるのであった。
 がんばれ「天空樹学園」生徒会!いんどら教頭の野望をうち砕き、びしぬ校長復活の日まで!!

つづく・・・わけねーだろっ!